ゼミナール履修を検討している皆さんへ
last update: 2019.11.8

ゼミナールには、普通の講義ではなかなか実現することができない2つの役割があると思います。

1つは、専門的な知識を、ただ丸暗記するのではなく、相互に関連付けてしっかりと理解するという点です。普通の講義は、どうしても教員から受講生への一方通行になってしまいます。また、一度話したことを二度三度と繰り返し話をすることもできません。しかし、ゼミナールなら可能です。ゼミ生自身に学習内容を報告してもらうこともできますし、様々なトピックスを相互に関連付けて何度でも説明することができます。

もう1つは、人と人とのつながりを作るという点です。私は、ゼミナールを「コミュニケーションの場」だと思っています。ゼミナールでは、教員と学生や、学生と学生の間で、普通の講義では作ることができない密接な関係を築くことができます。ただし、ゼミナールの教室に来て座っているだけでは、そのような関係は築けません。積極的にやりとりをすることが必要です。

これら2つを実現しようとすれば、週に1コマ90分間1つの部屋に集まるだけでは時間が足りません。そのため、ゼミナールの時間は少し長くなりますし、ゼミナールの時間以外にも学外の活動に参加してもらうことを求めます。その点では、少したいへんかもしれません。ですが、私はゼミナールという「場」が好きです。ゼミ生の皆さんとのしっかりした人間関係を作るなかで(だから、飲み会も多くなります)、会計に関する実践的な勉強をしっかりとしてもらおうと思っています。そして皆さんにも、ぜひゼミナールという「場」をもっと活用してほしいと思っています。

企業や自治体が実際に作成・公表している財務諸表(貸借対照表、損益計算書・行政コスト計算書、キャッシュ・フロー計算書、注記と附属明細書)を実際に使いこなすことができる能力を獲得することがこのゼミナールでの学習の目的です。財務諸表を作ることよりも使うことに重点を置きます。

このゼミの学習で使い方を学ぶのは、基本的には企業の財務諸表ですが、近年は自治体でも貸借対照表等の財務書類の作成が行われているようになっています。企業と自治体では財務諸表の意味が異なりますが、このゼミでは双方の財務諸表を使うことができるようになることを目標とした学習を行います。

さらに、企業の世界では活動の舞台が日本だけでなく世界(グローバルな資本市場)に広がっていることを踏まえて、英文の財務諸表を利用することができるようになることも、このゼミでの学習の大きな目標です。

具体的には、財務諸表を利用するために理解する必要がある様々な概念やルールに関する知識を身につけますが、ただ知識量を増やすのではなく、それらの事柄の根底にあり、様々な事柄を相互に結び付けている考え方を理解してほしいと思っています。また、ゼミナールでの議論の内容が、企業会計だけでなく、企業財務、労務、企業戦略、あるいはマーケティング等の分野に発展することも歓迎しています。

また、机上の勉強だけでなく、習志野市や君津市で実施されている「バランスシート探検隊」事業に参加して、実践の場での体験的な学習の場も設けます。
桜井久勝、須田一幸、
『財務会計・入門 −企業活動を描き出す会計情報とその活用法−(第12版補訂)』、有斐閣アルマ、2019年。
わが国の現実の企業会計制度を、財務諸表を利用する側の観点からまとめた入門テキスト。企業の財務諸表がどのような目的で作成され、どのような情報を得ることができるかを幅広く学ぶことができます。
Fraser, L.M. & Ormiston, A.,
Understanding Financial Statements(11th ed.), Pearson, 2016.
財務諸表の使う上での留意点を項目ごとに解説したテキスト。特に「利益の質」に関して具体的な企業の事例を用いたチェックリストが示されている。
《上記以外にも、必要に応じて、追加資料をプリントにして配布します》
ゼミナールでの学習は、ゼミ生による報告とディスカッションを中心として進めていきます。
また、毎週のゼミナールの時間以外に、習志野市や君津市での「バランスシート探検隊」(自治体における財務情報の活用方法を実践的に検討する取り組み)の活動に参加します。
3年次 4月〜7月 和書テキストの輪読による基本事項の習得。
章ごとの要約をレポーター(1名)が報告する。他のゼミ生は疑問点を箇条書きにした「質問リスト」を提出し、その「質問リスト」の内容に基づいて知識を深める。
3年次 9月 ゼミ合宿(2泊3日。全員参加)。3年生は、グループ単位での自主研究の発表(コンテスト形式)または自治体による「バランスシート探検隊」への参加。
3年次 10月
〜4年次 7月
洋書テキストの輪読。テキストの全訳。ゼミ生は毎回指定部分の予習を行い、「質問リスト」を提出する。
4年次 9月 ゼミ合宿(2泊3日。全員参加)。卒業論文テーマの最終決定。
4年次 10月〜12月 卒業論文の中間報告(1人3回)。卒業論文は A4判(40字×35行)50枚以上を条件とします。
  • ゼミナールの趣旨を理解し、自分の手をゼミナールを作っていこうとする積極的な意志を有していること。
  • 2年次までの成績は不問(3年次以降のゼミナールでの学習こそが重要)。ただし、3年次の終わりまでに日本商工会議所主催簿記検定試験2級に合格すること
  • ゼミ開催日(木曜日の予定:最終的にはゼミ生と相談して決めます)には、アルバイトの予定を入れないこと。
  • ゼミナールでのディスカッションでは、自分の担当部分以外での積極的に発言することを約束すること。
  • 選考方法はアンケートと面接。(アンケート用紙は11月12日(火)から研究室およびグラデュエイト・ラウンジ2のドアに備えます。事前に記入し、面接時に持参してください。要写真

《令和元年度 ゼミナール募集関連の日程》
11月

18日

(月) ゼミ生・教員による説明会

12:00〜13:00

(人文社会系総合研究棟2階・グラデュエイトラウンジ2)
11月 20日 (水) 指導教員による個別相談
16:00〜18:00 (人文社会系総合研究棟2階・グラデュエイトラウンジ2)
11月28日(木)公開ゼミ
16:10〜17:00
(人文社会系総合研究棟2階・グラデュエイトラウンジ2)
12月 5日 (木) ゼミナール面接(集合時間:16:10
16:10〜18:10
(人文社会系総合研究棟2階・グラデュエイトラウンジ2)

《案内図》
◆人文社会科学系総合研究棟
(入口に「大学院人文公共学府」の看板が掲げられています)

<人文社会系総合研究棟2階 配置図(グラデュエイト・ラウンジ2)>


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